有機質肥料といっても様々で、生物由来の資源を原料としていれば良いわけで、慣例的に発酵鶏糞や牛糞も有機質肥料と呼ばれます。
しかし実際には発酵鶏糞のパッケージの裏をみると堆肥とかかれています。
実は有機質肥料に関しては「肥料」と「堆肥」の間に明確な分断はありません。
使用目的、タイミングなどによって区別されています。
肥料と堆肥の区別
とはいえ肥料と堆肥には使用量という点で明らかな差があります。
肥料ならせいぜい200kg/10a。
それが堆肥ともなると1000kg~/10a。
仮に牛糞堆肥(2-2-2)で考えると、
肥料想定(200kg)なら窒素-リン酸-カリが4kgずつ入ります。
堆肥想定(1000kg)なら20kgずつ入ることになります。
その差10倍以上!
施肥基準をほぼ満たしちゃう量の養分が入ることになります。
これはさすがに「肥料」と「堆肥」の明確な分断が必要じゃないか?
肥料の役割 堆肥の役割
というわけで、肥料と堆肥の役割を考えていきます。
前回の記事で肥料には大きく分けて「基肥」と「追肥」があると書きました。
つまりそこには圃場全体の養分の供給、または即時的な植物の活性が求められるということです。
これは成分量が多く、CN比が低い有機質資材なら可能なので、堆肥であるはずの発酵鶏糞や牛糞堆肥などは実際には肥料的有機質資材ということになります。
堆肥の役割といえば、全体的な養分供給もありますが、累積的な土壌改良効果にあると考えます。
つまり有機物の供給。特にCN比が高い有機物です。
これは鶏糞や牛糞をはじめとする家畜糞堆肥の多くにあてはまりません。
これを得意とするのは、バーク堆肥や廃菌床などの植物性堆肥です。
CN比が高く、圃場の養分を一時的に奪うため即効性がなく、成分含有量が低いため効果が表れるまで数か月の時間を要するときがあります。
これらは堆肥的有機質資材ということができます。
では米糠は?魚かすは?
これらの資材を判断するには、養分量、CN比から目安をつけていけばよいということになりそうです。


