「ビタミンB1」
チアミンとも呼ばれる、疲労回復などに役立ち、特定の植物の成分と結びつくことでさらに強力な「アリチアミン」になる重要な栄養素の一つです。
チアミンをよりよく理解するために、まずその効果である「疲労回復」とは何か?についてみていくことにしましょう。
疲労物質「水素イオン(H⁺)」
激しい運動をした後に、
「乳酸が溜まって動けない!」
なんて言い方をしたことがあると思いますが、乳酸からしたらまあまあ冤罪です。
本当の疲労物質は、同時に発生する
「水素イオン(H⁺)」です。
私たちが活動に使うエネルギーは、ATPが分解されると生成されます。
ATP⁴⁻+H₂O⇆ADP³⁻+H₂PO₄⁻+H⁺+Energy
エネルギーが作られるたび、水素イオン(H⁺)が発生しているのが分かります。
ちなみに乳酸の発生は以下の通りです。
ピルビン酸+NADH+H⁺⇆乳酸+NAD⁺
乳酸が発生するときにH⁺が消費されてはいますが、
乳酸は弱酸であり、水中では以下の平衡を持ちます。
乳酸 ⇄ CH₃–CHOH–COO⁻ + H⁺
乳酸の蓄積により細胞外にH⁺が放出され、
結果的に 細胞内外が酸性化(pH低下) します。
水素イオンといえば…
水素イオンってどこかで聞いたような…
土壌の酸性度を図るための指標、pH(ペーハー)は、
pH=- log₁₀[H⁺]
で表されます。
上の式を分かりやすくするために逆数に変換!
pH=log₁₀(1/[H⁺])
例えば
[H⁺]=0.01mol/Lとすると
pH=log₁₀(1/0.01)
=log₁₀10²
=2
つまり酸性溶液
[H⁺]=0.00000001mol/Lとすると
pH=log₁₀(1/0.0000001)
=log₁₀10⁸
=8
これはアルカリ性溶液。
そしてこの水素イオンと疲労物質の水素イオンは全く同じ物質です。
土壌中だろうが、細胞内だろうが、水素イオン濃度が増えれば増えるほど酸性になるということです。
土壌が酸性に傾くと、養分の吸収や微生物の働きなど様々な機能が鈍くなるのと同じように、
酸性に傾いた細胞は、解糖系や筋収縮に関わるさまざまな酵素やタンパク質の立体構造が変化し、働かなくなってしまい疲労として感じるということです。
これを解決するのがビタミンB1というわけですが、長くなったので今回はこの辺でー。


