植物には欠かせないミネラルの存在。
人間にとっても重要な役割を果たしますが、私たちが普段の食事で得ているのは、
「ミネラル」「カロリー」そして「ビタミン」です。
生命にとって重要な要素であるビタミンは、植物は自らの合成によって獲得できますが、外部からも吸収できます。
また動物的な代謝を持つ土壌微生物にとっては、代謝を維持するために重要なファクターです。
ビタミンはどこに存在する?
ビタミンは土壌中のあらゆるところに存在しています。
- 微生物による直接合成と放出
- 土壌微生物は、自身の成長と代謝のためにビタミンを合成します。
- これらのビタミンは、微生物が死んで分解される際や、代謝副産物として環境中へ放出される際に土壌中に供給されます。
- 根圏での共生による供給
- 微生物からの吸収:植物は自身で合成できない、あるいは不足しがちなビタミンを、根圏微生物が放出したものや、微生物の分解物から直接吸収していると考えられています。
- 微生物は、植物の根から糖などの炭素源を受け取る代わりに、ビタミンを含む生理活性物質を供給する「交換システム」の一部を担っている可能性があります。
- 有機物の分解プロセス
- 有機肥料や落ち葉などの有機質が土壌に供給されると、これを分解する微生物が活発になり、その過程で多くのビタミンが生成されます。
要するに、土壌は巨大な生化学工場のようなもので、土壌微生物という工場労働者たちが、有機物を原料に、自身の生存に必要なビタミンを作り出し、それが植物の栄養としても利用されるという循環が起きています。
ビタミンとミネラルは関係がある?
前回の記事で、単一のミネラルの施用は、ミネラルバランスを歪めるため、有機肥料でも施用が難しいということに触れました。
そしてもちろんビタミンとミネラルには密接な関係性があります。
例えば、
- コバルト とビタミンB12(コバラミン)の関係は非常に直接的で、コバルトはビタミンB12の分子構造の中心となる必須の金属元素です。
- ビタミンC は、鉄 Fe³⁺ を植物が吸収しやすいFe²⁺の形に還元するのを助けます。これにより、鉄の吸収効率が向上します。
このように、ビタミンとミネラルは切っても切れない関係性を持っています。
つまり、単一のミネラル施用がミネラル同士だけでなく、ビタミンにも影響を及ぼしているということです。
ここまでくると、「栽培の教科書」や、「施肥基準」なんてものは、ほんの一例にすぎず、
「土壌」によって、
「微生物」によって、
「これまで行ってきた栽培」によって、
栽培が一生、「型」にはまることはないんだなと感じます。
それでも細部を理解することで、どんなことに力を注げばいいのかわかってくる気がしています。
次回は、ビタミンとミネラルの関係性についてより詳しく見ていきましょう。


