植物ホルモンに影響を与える塩類集積は、文字通り土が塩漬けされて、やがて浸透圧ストレスによって植物が育たなくなる状態です。
過剰な施肥や堆肥の施用によって生じるということまでは見ていきましたが、
- どんな資材を使えば塩類集積が起こらないのか。
- 起きてしまった圃場はどのように直せばよいのか。
を考えていきたいと思います。
物理的対策
塩類というのは化学的に非常に安定しているため、化学反応を通して除去をすることが困難です。
まずは水に溶かして地下に流すということで養分濃度を下げることを試みます。
ただ、透水性のために暗渠排水設備の整備などを設けることはコストと時間がかかります。
そこで新たな解決策として、
土壌を「かさまし」することによって、土壌の堆積を増やし、浸透圧を下げることを考えていきます。
塩類を含まない有機物
「かさまし」に使う資材の条件として、
- 塩類をほとんど含まないこと
- pHが作物生育範囲であること
- 通気・通水性を持つこと
- Mg²⁺やCa²⁺を含むこと(Na⁺が多いとき)
- 分解が緩やかで持続性があること
- かさましとして大量に施用できること
というような資材が必要になってきます。
理想が高い!!
こんな資材あるの…
資材を厳選
まず塩類をほとんど含まないことという条件についてみていきます。
ここで除外されるのは、「家畜糞堆肥」です。
実は家畜糞堆肥の含有成分である窒素(N)、リン酸(P₂O₅)、カリ(K₂O)、Na、Cl、SO₄²⁻などいずれも水溶性でEC上昇要因になります。
また家畜糞の飼料はNaを含んでいるので、その堆肥の施用でNaが析出します。
さらに悪いことに、堆肥というイメージによってトン単位の施用が当たり前となります。
堆肥といえど、塩類集積を引き起こす側にあり、実は化成肥料よりも根本的な原因となりうるのです。
家畜糞堆肥を除き、大量に施用できる資材というだけで、
- 無機鉱物資材
- 植物性資材
の2択になってきます。
次回はまず無機鉱物資材から見ていきます。


