意思を持つ「根」

栄養のバランスを保ちながら施肥をするにはどうすればいいの?

いろいろな相互作用を見ていくうちにそんな疑問が出てきました。

そこで考えていきたいのは、植物の根の自律性です。

意思を持つような根の動き

人間が施肥をする以前から植物は「水」や「ミネラル」を探し求め、根を土中に伸長させてきました。

そして根の伸長は、土中環境を察知して得られた情報を元に、植物ホルモンを調整することによって制御されています。

根の伸長にかかわる代表的な植物ホルモンには、

  • オーキシン: 根の伸長や成長方向を制御する主要なホルモン。光や重力などの刺激を感知すると、オーキシンの濃度勾配が変化し、根が曲がる(屈性)原因となります。
  • サイトカイニン・エチレン: 栄養素の利用可能性やストレスレベルに応じて、これらのホルモンが複合的に働き、側根の発生頻度や根毛の伸長などを調整します。

などがあります。

これらのホルモンを通じて、植物は自律的に栄養を摂取しているのです。

ホルモンに注目!

栽培において「ホルモン」という言葉を聞くことは少ないですが、全ての生物にとってホルモンとは、生物の形を決定付ける極めて重要な要素です。

例えば、脊椎動物から節足動物までほとんどの生物が持っているステロイドホルモンである

「エストロゲン」や「テストステロン」、

その前駆体である「プロゲステロン」

は、骨格や脂肪のつき方の変化など、二次性徴を誘導し、身体的特徴を形成します。

植物においても、ホルモンを最適化すること。

根が自律性を持ち自ら必要な栄養素をとることができるようにコントロールすることができれば、養分バランスを保ちながら健康な成長ができるはずです。

ここからはそんな植物ホルモンについてより詳しく見ていきます。