土づくりのジレンマ

有機物を好気状態で与えることで、未分解でも障害を起こさず、「栄養」も「土づくり効果」も得られることについて書いてきました。

ただ、有機物を空気に触れるように与えるというのは簡単そうで、広い面積になればなるほど、その難易度は上がっていきます。

そして、そんな土づくりは歯がゆい問題を抱えているということも付け加えておかなければいけません。

好気状態を保つことの難しさ

もし有機物を大量に投入すると、微生物の活動が活発になり、酸素の消費速度が供給速度を上回ってしまうことがあります。

こうなると嫌気状態に傾き、好気性微生物が活動できなくなってしまいます。

そして降雨があれば水没し、酸欠状態になってしまうと、少量の有機物でも生育阻害を起こします。

まずは排水対策を前提として、有機物を適切な量を入れていく必要があります。

土壌中の空気

有機物は土壌表面に撒くだけでも効果はありますが、土と触れる表面積を増やすように混ぜ込むことでその作用範囲が広がります。

そして土がどんな状態かで、表層から何cmまで有機物を混ぜられるかが変わってきます。

これは圃場条件によるところがかなり大きく、水田では浅く、畑地では深いとも言い切れません。

その時の指標になるのが、土壌の団粒化

土壌の小さな粒子が、微生物の分泌物や植物の根、腐植質などによって「団子状」に固まり、大小さまざまな隙間(孔隙)を持つようになった状態です。

この団粒構造が、以下のような役割を果たします。

  • 大きな隙間(粗大孔隙): 団粒と団粒の間にできる大きな隙間は、主に空気や水の通り道となります。この隙間が大きいほど、土壌の奥深くまで空気が入り込み、通気性が良くなります。
  • 小さな隙間(毛管孔隙): 団粒の内部にできる小さな隙間は、水を保持する役割を果たします。

つまり、団粒構造が発達している土壌は、深層まで「水はけが良く、かつ水もちが良い」という理想的な状態になります。空気が十分に供給されるため有機物を深く入れても構いません。

残念なお知らせではありますが、有機物による土づくり効果を最も得やすい圃場は、すでにある程度土づくりが進んでいる圃場になってしまう、というジレンマを抱えているのです。

でも土がガチガチだから土づくりをしたい!というのが当然の悩み。

次回は、土づくりの進んでいない圃場で有機物を投入する方法に考えていきます。