未分解の有機物を施用することで土に栄養を丸ごと与えることができるけど、生育阻害物質になって消化不良を起こしてしまう。
ここまでそんなことを見てきましたが、未分解の有機物が生育阻害物質にならないようにするにはどうしたらいいのか?
好気分解と嫌気分解
有機物が空気に触れる環境(好気環境)で分解されるのと、空気に触れない環境(嫌気環境)で分解されるのでは、最終的な生成物に違いがあります。
好気環境
エネルギー効率:高 分解速度:早
- 無機養分: 好気分解によって、有機物中の窒素、リン、カリウムなどの元素が、植物が吸収しやすい無機塩類(硝酸塩、リン酸塩、カリウムイオンなど)に分解されます。
- 腐植: 好気分解が進むと、土壌の物理的・化学的性質を改善する腐植が生成されます。これにより、土壌の保水性や通気性が向上し、微生物の活動が活発になります。
嫌気環境
エネルギー効率:低 分解速度:遅
- 硫化水素 (H2S): 嫌気条件下で、硫酸還元菌が硫酸塩を還元することで発生します。この硫化水素は、植物の根に直接的な毒性を示し、呼吸や養分吸収を阻害します。腐った卵のような強い悪臭の原因でもあります。
- 有機酸: 酢酸、プロピオン酸、酪酸などの揮発性有機酸が生成されます。これらの有機酸は、土壌のpHを下げて根にストレスを与え、養分の吸収を妨げる可能性があります。
- 亜硝酸: 窒素が嫌気条件下で還元されると、亜硝酸が発生することがあります。亜硝酸は植物の生育を阻害する毒性を持っています。
したがって好気分解は植物の生育促進する物質を生み出し、嫌気分解は植物の生育阻害物質を生み出してしまうということです。
好気環境がキー
というわけで、土に有機物を与えるときは空気に触れるように与えることが大切ということになります。
土に混ぜ込むようなときは浅く。
雨で水没するような圃場では、排水対策が必要になってきます。
有機物は空気とセットで。
これだけでも有機物が栽培の力強い味方になってくれるはずです。


