前回まで菌根菌の働きによる「水分の調節」についてみてきました。
自分で歩く機能を持たない植物にとっては、乾燥による水不足など周囲の環境の作用を強く受けます。
自然環境は過酷なうえ、今日の栽培で劣化した土壌環境によってより強いストレスにさらされてしまうことがあります。
土の中はストレスフル
物にとって土中にあるストレスは、生育を阻害する様々な要因を指します。
主なストレスの数はこんなにたくさん。
1.物理的ストレス
- 土壌の硬さ(機械的抵抗):硬い土壌は根の伸長を妨げ、水分や養分の吸収を阻害します。
- 酸素不足(土壌の過湿):水で飽和した土壌では、酸素が不足し、根の呼吸を妨げ、根腐れを引き起こします。
- 土壌の乾燥:土壌中の水分が不足すると、植物は水を吸収できなくなり、萎凋や生育不良につながります。
考えられる原因:大型機械による土壌の硬化
2.化学的ストレス
- 塩分過多(塩害):土壌中の塩分濃度が高いと、浸透圧の関係で植物は水分を吸収できなくなり、脱水症状を引き起こします。
- 養分欠乏:窒素、リン、カリウムなどの必須栄養素が不足すると、植物の成長や代謝に問題が生じます。
- 養分過多:特定の栄養素が過剰に存在すると、他の養分の吸収を阻害したり、植物に直接的な毒性を示したりします。
- 重金属汚染:カドミウム、鉛、ヒ素などの重金属が土壌に含まれていると、植物はこれらを吸収し、生育不良や枯死の原因となります。
- pHの異常:土壌が強酸性または強アルカリ性に傾くと、特定の養分が不溶化したり、有毒な金属が溶け出したりして、植物が利用できなくなります。
考えられる原因:有機・化学肥料問わず肥料の多用。
3.生物的ストレス
- 病原菌:土壌中に生息する病原菌(カビ、細菌、卵菌など)が根に感染し、病害を引き起こします。
- 害虫:土壌中の害虫(ネコブセンチュウなど)が根を食害し、植物を弱らせます。
- アレロパシー:他の植物が放出する化学物質(アレロケミカル)が、特定の植物の成長を阻害します。
考えられる原因:単一作物の連作。
このように、自然環境ストレスが土中に影響を与えるケースは単発的でしかなく、土中ストレスの多くは、人が行う栽培によって蓄積されたものは慢性的に蓄積されたものが主であることが分かります。
とはいえ、栽培をしなければ食料を賄うことはできません。
そしてそのストレスを解決してくれるのは、またしても「菌根菌」。
人の手が加わったものを自然に返してくれる第一歩目は菌根菌から始まるのかも。
次回はそれぞれのストレスに菌根菌がどうアプローチしていくのか見ていきたいと思います。


