菌床は収穫のたび生産効率が低下するため、数回収穫のあと廃棄されており、廃菌床にはキノコが吸収しきれなかった養分が豊富に残されています。
1. 糖質(炭水化物)
廃菌床のエネルギー源として最も多くを占めるのが糖質です。
ただし、私たちがご飯やパンから摂取するようなデンプン質が主ではなく、ほとんどがセルロース、ヘミセルロース、リグニンといった、木質由来の食物繊維です。
- セルロース、ヘミセルロース: これらはブドウ糖(グルコース)などが多数結合した高分子の多糖類です。キノコの菌糸がこれらの成分を分解して栄養として利用しますが、完全に分解しきれずに残存しています。特にヘミセルロースは、キノコの種類によっては優先的に消費されるため、セルロースに比べて残存量が少ない傾向にあります。
- リグニン: セルロースやヘミセルロースと結合して植物の細胞壁を強固にしている物質です。キノコ(特に白色腐朽菌)はリグニンも分解する能力を持っていますが、分解されにくく、廃菌床にも比較的多く残ります。
2. タンパク質
廃菌床には、キノコの菌糸自体や、培地に含まれていた米ぬかなどに由来するタンパク質が含まれています。
- キノコの菌糸: キノコは、タンパク質を構成するアミノ酸を合成して菌体を形成します。収穫後も廃菌床にはこの菌糸が残存しており、良質なタンパク質の供給源となります。
- 培地由来: 米ぬかやフスマなどの培地材料にはもともとタンパク質が含まれており、これらも一部残っています。
廃菌床のタンパク質含有量は、培地の種類やキノコの種類によって異なりますが、一般的に粗タンパク質として数%~10%程度とされています。
3. 脂質
廃菌床に含まれる脂質(脂肪)は、ごくわずかです。
- 培地由来: 玄米の糠層に由来する米糠は、脂質を比較的豊富に含んでいます(米ぬかの約20%が脂質)。
- 菌糸由来: キノコの菌糸にもわずかな脂質が含まれます。
廃菌床全体の脂質含有量は、乾燥重量で1%~数%程度と非常に少ないのが一般的です。
培地に残されたカロリーだけでなく、それらを栄養として張り巡らされた菌糸にも含まれるカロリー。
そんなカロリーを土壌に与えることはまさに土にとっての「御馳走」。
土に良い仕事をしてもらうには、土を空腹にしないこと。


