「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」
目的を達成するには、直接そのものを狙うのではなく、その周りにある土台から固めるのが一番の近道であるという言葉。
同じように、健康的でおいしい作物を沢山収穫するには、まず土台である土づくりを固めることが一番の近道です。
昨年最後の記事では、土づくりには
植物の「Root」を育てる必要があることに触れてきました。
そしてT/R(Top/Root比)の考え方では、
人為的にRを増加させるには、
「水分を絶ち、肥料を与えない」
という育て方が肝になります。
過去の記事の大半では、では低養分条件ではホルモンや遺伝子によって
根が伸長をはじめたり、菌根菌が活性するため、
植物の生育に必要な栄養や、水分を獲得することができることについて考えてきました。
いつまでも待てないから
昨年までの話を簡潔にすると、
Rootに投資して、水や肥料を与えなければ、いずれは循環によってRootもTopも育つようになる…
…でも、この「いずれ」という言葉、
まともに作れるようになるまでいったい何か月?何年?
私はこの不安が、農業を肥料や農薬の常用、そして病気や連作障害、土の劣化という現代農業が抱える悪循環をもたらしていると考えています。
本来の農業は、何年もかかる自然のプロセスを人の手によってに高速化することであると考えています。
だからこそ昨年までの記事では、
何をどう与えたらいいのか。
には重きを置かず、
自然が行う土づくりのプロセスをじっくりと見てきました。
希釈と徐放
自然はゆっくりでありながら、何年もかけて行っていることがあります。
それが「希釈」と「徐放」
自然界において、特定の成分が「一箇所に濃すぎる」状態は、生命にとって毒になります。
植物は、毒となりうる成分の偏りを、炭素というクッションと合わせて自らの体に閉じ込め、
枯れてもなお、
ゆっくりと土に徐放されるように、自身の体を分解されにくくしたり、
大量に堆積して土自体の「かさ」を増やして成分を希釈しています。
いつまでも堆肥や緑肥を、土に栄養を与えるためだと思っているのなら…
農業が本来の形を取り戻すために、今年も理論の構築と実践を繰り返す一年に。


